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悪魔は悪魔とは思えぬほど優しい微笑みを浮かべた。
「私を喚びだしたのは貴方か?」
綺麗な声音だった。
青年にしては高い、ハープのような透き通る声音。
男はゆっくりと頷いた。
警戒してその手には銀の十字架を握り締め。
「警戒しないで。私は貴方が望む答えを出しに来たのだから」
悪魔はそっと手を差し出した。
白い白い手だった。
「ならば、名を言え」
男は言った。
名とは大切なものである。
ことによっては束縛させることができるほどに。
「私はヴァッサゴ。かつて、天使であった者だ」
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