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天使であった…堕ちた天使ヴァッサゴはそう告げた。
「ヴァッサゴ…」
「はい」
男が名前を復唱するとヴァッサゴはにこりと笑い答えた。
その表情は裏表があるようには見えなかった。
「貴方の願いを叶えましょう。代わりに」
そこで男はひくりと身体を一度震わせた。
何を代償に渡せと言うのだろうか…。
男の十字架を握り締める手は知らず知らず強くなり、じんわりと汗をかいた。
「貴方の今後、一生を私と共に暮らさせてください」
ヴァッサゴの薄く色付いた唇からそう言葉が紡がれた。
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