女の子

3/8
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
「チュラ!」 ひときわ大きい声が全体に響いた。 草の上で寝ていた少女が目を覚ます。 「チュラ!どこなの!チュラ!」 チェニック姿の少女は、はっとして草の上から飛び上がった。 少女は、恐々しく、辺りを見渡した。 辺り一面、草原だ。ただ遠くで煙突が煙をふかしている。 逃げなければ…少女は、裸足で柔らかい草を踏む。 「リューー!リュネ!」 澄んだ声が小さく響く。 焦りながら周りを見渡し、リュネと名を呼ぶ。 呼ばれて出てきたのは、赤い猫だった。 「リュネ!どこ行ってたの!ターネがくるわっ早くあの家から逃げなければ!」 「落ちつきよ、チュラ。」 赤い猫は、呆れたように言う。 「落ちつけるわけないでしょ!」 少女、チュラは怒鳴った。 赤い猫・リュネは、ふぅと息をついた。 「分かったよ。行こうか。あの家は、もう…お前の居場所じゃない」
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!