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「チュラ!」
ひときわ大きい声が全体に響いた。
草の上で寝ていた少女が目を覚ます。
「チュラ!どこなの!チュラ!」
チェニック姿の少女は、はっとして草の上から飛び上がった。
少女は、恐々しく、辺りを見渡した。
辺り一面、草原だ。ただ遠くで煙突が煙をふかしている。
逃げなければ…少女は、裸足で柔らかい草を踏む。
「リューー!リュネ!」
澄んだ声が小さく響く。
焦りながら周りを見渡し、リュネと名を呼ぶ。
呼ばれて出てきたのは、赤い猫だった。
「リュネ!どこ行ってたの!ターネがくるわっ早くあの家から逃げなければ!」
「落ちつきよ、チュラ。」
赤い猫は、呆れたように言う。
「落ちつけるわけないでしょ!」
少女、チュラは怒鳴った。
赤い猫・リュネは、ふぅと息をついた。
「分かったよ。行こうか。あの家は、もう…お前の居場所じゃない」
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