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最初女の子を見つけたのは、深いわらぶき屋根の中だった。
屋根を伝い旅をしてきたリュネは、ちょうど腰をおろしたところに女の子が大の字になってわらぶき屋根に深く沈んでいた。
泣きはらした目はリュネの毛並みにも劣らず赤く夜の星星を睨んでいた。
「何がそんなに悔しいんだい?」
リュネは訊ねてみた。女の子ははっとした顔で口をあげ頭を上げてリュネをみた。
「やぁ窮屈そうだね!」
赤い猫がしゃべってる…今までじっっと睨んでいた目とは全く違く目を大きく見開いた。
「わらぶきの布団に寝たことないの?とっても気持ちいいのよ。安心する。」
「何から守ってもらうのを探している者はよくいるさ。現にオレだってそうだから」
リュネはニヤリと笑った。
「それに、窮屈なのはこのわらぶき屋根の中じゃない。あんたの世界さ」
「何も知らない野良猫が!…ううん奇妙な猫だわ。」
「奇妙??それはご愛嬌さ。可愛いだろ?珍しくって餌をあげたくなるくらい。」
リュネの腹がグルルルとうねった。
「…いいわ。そこに天窓があるでしょ?そこは私の部屋だから降りて良いわ。ただしそっとね」
「まかせろ。忍び足は得意だ。」
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