189人が本棚に入れています
本棚に追加
何だそりゃ。
千尋は内心そう思ったが、賢明にも何も言わなかった。
「それから、土曜日の朝九時からは勉強会を開きますので、興味がおありでしたら来て下さい。
もちろん教材などは必要ありません。」
「べ…勉強会って…一体、何を勉強するのですか?」
「様々な事をです。
特に何を勉強するとかは決まっておりません。
なので気兼ねしなくていいのですよ。
中には、ただいるだけで何もしない人もいますし。」
虎次郎の言い分は言いえて妙であった。
まるで話が見えない。
(一体何がしたいのよ、この人。)
千尋はこのアパートの不可思議な決まりに溜め息を吐いた。
冗談なのか本気なのかも分からない。
虎次郎は至極真面目に話しているが、どこの世界に同じアパートに住んでいるというだけで、一緒に食事をしたり勉強をしたりする人がいるというのだろうか。
虎次郎は更に続ける。
「それから毎月第二日曜日は交流会です。
また日が近付いたらお知らせしますね。」
交流会…。
ひどく懐かしい言葉だった。
交流会など小学生の時以来参加した覚えがない。
それを大学生になった今、耳にするとは思わなかった。
最初のコメントを投稿しよう!