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「す、すみませんっ!!
腰の細さが僕の知り合いにそっくりでっ!!
その上あまりにも女性のような柔らかみに欠けていたので、つい間違えてしまいましたっ!!」
待て待て待て。
この男はこれで謝っているつもりなのだろうか。
千尋はお世辞にも痩せているとはいえないが、自分でも太っているとは思わない。
ごく標準だ。
確かに男の言う通り、高校まで陸上をやっていたので他の女性よりも筋肉は付いている。
しかしいくらなんでも失礼ではないだろうか。
初対面の男にこれほどまで失礼なことを言われたのは初めてである。
だが、ここで心の声をぶちまける千尋ではない。
(穏やかに…穏やかに…。)
心中でそう唱えながら、千尋は微笑みを無理矢理顔に張り付けた。
「い、いえ…。
大丈夫です…。
これからは気をつけて下さい。」
男はしゅんとうなだれながら小さく「はい。」と返事をした。
「ところで、あなたは…。」
「今日からこの部屋に入居した福原千尋です。
よろしくお願いします。」
すると男はニッコリと愛想良く笑った。
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