石の箱

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今度はワシも話をしようかの。聞いてくれるかの』 『はい!いいですよ。』 『では、ゴッホン!』 軽く咳をしたおじいさんはゆったりとした口調でゆっくりと語り始めてた。 それは、遠い昔、昔の話じゃ。 在るところに大層な裕福な商人がいたんじゃ。その商人には1人息子がいたんんじゃ。 その息子は頭も良く、大層な美形でな、町一番の美少年じゃという評判じゃった。町のほとんど女性にも、男色を好む男性からも大変好かれたそうじゃ。 そうな少年がある日、 町外れにある古い教会に行ったんじゃ。 すると、そこには これまた、中性的で女性にも男性にも見える青年が立っていたんだ。 『やあ、約束どおり、来てくれたんだね。』 と微笑を浮かべながら言ったんだ。 『はい!』少年は頬を赤らめて頷いた後、続けて言ったんだ。 『あの~手紙に書いてあったことって本当なんですか?ボクの望みをなんでも叶えてくれるって…、』 『ああ、そのつもりさ。その為に私は此処にきたんだからね。』 『でも、本当に叶えることが出来るでしょうか。ボクの望みは今の美貌のまま、永遠の命がほしいだなんて…、神への冒涜かもしれない。』 『ふん。神か。』青年は鼻で笑った。 『大丈夫だよ。神が出来ないことでも、私には出来るのさ。私にはね。』
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