石の箱

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『でも…。』少年は急に不安に駈られた。 『今さら、何を悩み、何を躊躇う。キミは永遠の命が欲しくないのかい?』青年はその美しき容姿を更に妖しく輝かせ少年に迫った。 『私を信じれば、キミに永遠の美貌と命を与えることが出来るんだ。これはキミが望んだことじゃないか。だから、こうしてこの場にキミはいる。』 青年の青く輝く瞳に見射られた少年の目は虚ろになり、意識はゆっくりと消えていく。 意志のない無表情な少年がまるで操り人気のように 『はい!ご主人さま。ボクはアナタを信じます。どうか。このボクに永遠の命を与えてください。』 『よく言ったね。じゃあ、キミに与えよう。』 そう言って青年が呪文のような言葉を発すると、突然、地面が二つに割れ、地中より赤い炎が立ち昇り、次の瞬間、地面の上に巨大な石の箱が現れた。 『準備は整った。さあ。我がシモベよ。この箱に入るがいい。汝の願いを叶えよ。』 青年にそう言われて少年は言われるままに、箱の中へ、少年が入ると同時に箱の蓋が閉まった。 そして、また。今度は青い炎が立ち昇り、 炎が消えると箱もまた消えていた。 そして、あの青年も消えていた。
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