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『…。』青年は絶望のあまり言葉が出てこなかった。
『そんな絶望的な顔をしてくれるとは、嬉しいかぎりだね。』
『そんな…。』少年は言葉を失っなった。
悪魔は畳み掛けように言った。『いいだろう。キミにとっての世界はその小さな箱の中だけさ。実に愉快なことだ。
哀れで愚かな人間をみるのは実に…愉しい。
その苦痛に歪む顔が
尚、キミの美しさを増しているようだ。
それにしても、その美貌に反して君の心は実に醜い。醜悪だ。人間の本質をみているようだね。
そう言って青年の目には、また妖しい光が灯る。
ふん。これは面白い。実に良いアイデアが今、浮かんだよ。キミにとってもね。』
さあ、おしまい。おしまい。
おじいさんはそう言って話の核心部分と思われたところで話を終えた。
『いや。実に長い話をしてしまった。もう夕暮れ時じゃな。どうやら。待ちぼうけをくらったらしい。ホントにすまなかったね。
つまらない話を聞かせて…』っといっておじいさんが立ち上がりそうなったので、ボクは慌て…、言ったんだ。
『ねえ、さっきのお話の続きってないの。
その悪魔が思いついたアイデアってなに?』
『ほお、気になるのかね!
』
『はい。やっぱり気になりますね。』
『聞かない方がいいかもしれないよ』
そう言って、おじいさんは笑って言った。
『 』ボクが黙ったままでいると
『そんなに聞きたいのかい。いやー大したことじゃないじゃよ。ただ……、
ワタシ自身の代わりを探せば済むことなんじゃから……、』
そう言って、おじいさんはボクの腕を強く掴んだまま呟いた。『どうやら、見つかったよ。ワシの代わりがなぁ…』
《終り》
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