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その日も、心臓発作を起こした患者さんが運ばれて来た。 救急隊からも職場の同僚からも家族へ連絡しようとするが、呼び出し音はするもののいっこうに連絡がとれていなかった。 そのまま、職場の方には連絡を続けてもらっていた。 精一杯の処置をしていたが、結局その方の意識が戻ることはなかった。 2時間ほど経ってやっと連絡がとれ、家族である妻と娘さん2人が病院に着いた時には、すでに救急要請から4時間が経過していた。 ……………。 心臓発作を起こし、ほんの数分・数時間で亡くなってしまうことも多々ある。 哀のおじいちゃんだってそうだった。 到着した家族が患者のもとへ通され対面。 泣き崩れ、泣き叫ぶ声が響く。 まだ保育所に行く前の小さかった自分が、父親に抱きかかえられながら、冷たくなってしまっていた優しかったおじいちゃんを見ている場面を思い出した。 小さかったから、何が起きていたのかはっきりわかっていなかったが。
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