1章 絶望と希望

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「はぁ、はぁ……。千草、どこにいったのぉ?」 私は真っ暗になってしまった街の中を一人、当てもなく走りまわっていた。 この街は広くないからすぐに見つかるだろうと思っていたが、考えが甘かった。 店の前や民家の間の狭い道まで隈なく探したが、一向に見つかる気配がない。 どれぐらい走っただろうか、遂に体力の限界がきて足が止まり、がっくりと肩を落として地面にへたり込んでしまう。 すると一気に不安が押し寄せ、頬に涙が伝ってくる。 「どうしてぇ……? どうしてこんな事になったのぉ……?」 皆の心がバラバラになり、久遠が居なくなり、次は千草まで居なくなった。 地面に両手をつき俯きながら大粒の涙を流していると、懐に入れておいた羽が暖かい光を放っていた。 私は涙を拭い懐から羽を取り出し手の平に乗せると、さっきより光が強くなった気がする。 「久遠……。私達、どうしたらいいのぉ……? ねぇ、教えてよ、久遠……。」 羽に向かって小さく呟くと、羽が淡い光を放ちながら私の目線と同じ所まで浮く。 私は訳が分からず呆然と羽を見ていると、頭に誰かの声が響いてくる。 〔空……空……。〕 その声は昨日まで当たり前のように聞いていて、私が求めている人の声だった。 「久遠……? 久遠なのぉ!?」 夜にもかかわらず大声をだし、辺りを見渡しながら必死に久遠の姿を探す。 しかし辺りは暗闇が支配しており、久遠の姿は見つけられない。 でもさっきの声が気のせいだとは思えず、神経を集中させ羽を見つめてみる。 すると久遠の声が再び聞こえ、私は表情を崩し安堵の息を漏らす。 〔空……。俺の……声が……聞こえる……か……?〕 「うん!! 聞こえるよぉ!!」 私は羽を見つめながら、元気よく頷く。途切れ途切れになっているが、久遠の声を聞いていると何だか元気がでてくる。 そんな私の気持ちとは裏腹に、久遠は悲しそうな声に変え話を続けた。
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