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電車を降りる頃には、外はすっかり日も落ち、夜の姿に変わっていた。
愛子は駅を出ると、ネオンのきらめく街へと向かった。
目的地まであと少し。最後の交差点にさしかかったとき、信号は赤に変わり、足を止める。
そのとき、一台の救急車がけたたましいサイレンと共に、目の前を横切った。
「事故かな?」
都会の夜には、さほど珍しいものではなかった。愛子だけではなく、道行く人々のほとんどは無関心だった。
目当てのビルに着くと、急いで階段を駆け上がり、目の前の大きな木のドアを開けた。
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