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都心からは少し外れた場所に建つ一軒屋。門扉をくぐり、玄関を開ける。
「ただいま」
「おかえり」
彼女の母が出迎える。
「孝は友達と飲みに行くって」
「彼女じゃないの?」
鞄を置きながら聞き返す。
「わからないわ。お母さんには何も言わないもの」
弟の孝は食品会社で働いている。長らく付き合っている彼女がいて、最近は結婚も考えているらしい。
「お父さんは?」
「またアレよ」
母親は右手をクイッと捻った。
「またパチンコ? 最近よく行くわね」
「勝ってるんじゃない? お小遣いせびりにこないもの」
そんな話をしながらゆっくりと階段を上り、自分の部屋へと入る。
そして彼女は着替えを済ませると、リビングに戻り母親と夕食をとった。
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