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「悠里、悠里!」
「……あっ、ごめんなさい」
悠里の隣に座っている男性客が、煙草をくわえ火を点けようとしていた。慌ててライターを構える悠里。
「悠里、ちょっといい?」
悠里の耳元でママが囁いた。
「ごめんなさい」
悠里はカウンターに戻り、ママに謝った。
「一体どうしたのよ。今日はミスばっかりよ」
煙草を燻らし、ママは尋ねる。
「ごめんなさい。本当になんでもないの」
「……そう。何かあったら言うのよ。じゃあ、戻って」
ママは何かに気付いている様子だったが、何も言わずに悠里を戻した。
「あの娘ったら」
ママは、再びボックス席で笑顔を振りまく悠里を心配そうに見つめた。
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