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そんなある日のことだった。
愛子はいつも通りに食事を済ませ、自室のパソコンを開こうとしていた。
「んっ?」
仕事の連絡以外にほとんど鳴ることのない携帯が、バッグの中で震えた。
「誰だろう?」
恐る恐るバッグから携帯を取り出し開いた。
メールだった。
差出人は原田ひろみ。以前、愛子と同じ会社で働いていて、入社して一年足らずで寿退社した女性だった。
「何かな?」
メールの中身を確認してみる。
「ひさしぶり
最近どお? まだあそこで働いてるの?
私は離婚しちゃったよ。
ねえ、今週末空いてる? 飲みにでも行かない? いい店見つけちゃったんだあ。たまにはパーッと昔話したいな。
じゃあ、返事待ってます」
何年も会ってないし、一緒に働いてたときもほとんど話もしなかった。そんな相手が突然飲みに誘っている。
普通なら迷う、いや断るところかもしれない。
でも、愛子の返事はイエスだった。
他人に食事に誘われることなんて何年もなかった。それに暇なので断る理由もなかった。
携帯で返信すると、すぐパソコンを開いた。
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