すれちがう心

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「あっ、いたいた」 愛子が待ち合わせの居酒屋に入ると、入り口から少し離れたテーブル席に悠里は座っていた。月曜だというのに混み合う店内ではあったが、サラリーマンが多く、悠里はすぐに見つかった。 「お待たせ」 「ううん、全然待ってないよ」 悠里は笑顔で答える。 「何か頼んだ?」 「ううん、まだ」 愛子は席につくなりメニューを開き、飲み物のページを眺める。 悠里はその様子を見て不安気な表情を浮かべたが、愛子はそんなことおかまいなしに店員の顔を見上げる。 「じゃあ、私ビールね。悠は?」 「……私も」 オーダーを済ませると、愛子の方から話を始めた。しかし、その内容は特に中身の無い、どうでもいい話だった。 それでも、悠里は興味深そうにその話を聞いていた。
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