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「やだあ、お客さんたら」
男女の、いや男たちの声が行き交い、騒々しい店内のボックス席。オカマと楽しく酒を酌み交わす男たち。
その中心には、美しい笑顔でサービスする悠里の姿があった。
「なんか最近、悠里ってがっついてるよねえ」
周りのオカマたちは噂する。この店では唯一の美形である悠里に対する嫉妬のようなものもあるのだろう。
「そんなこと言わないの。あんたたちもあの娘に負けないように頑張りなさい」
たしなめるようにママは言う。
悠里は今まで以上に仕事に没頭していた。指名を取るため、少しくらいなら客に触られても、何も言わず耐えていた。
人気はうなぎ登りだった。店も連日満員で活気に溢れていた。
でも、ママだけは気付いていた。悠里が時折見せる悲しそうな表情に……。
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