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そして、さらに数日が過ぎても、悠里からの連絡はなかった。
もう、愛子の口から溜め息が漏れることも無くなっていた。
「また一人? ここ、いい?」
また平井だった。
平井は愛子の向かいに腰を下ろすと、うどんをつつきながら話しかけた。
「やっぱ彼氏と別れたの?」
愛子は驚きつつも、誰かに聞いてもらいたかったのか、落ち着いて答えた。
「そうなんです。振られちゃって」
「そっか。俺でよかったら、話聞くよ。今夜暇? ご飯でもどう?」
「え? いいんですか?」
愛子は嬉しさと驚きを隠しきれなかった。こんな形で男に誘われるのは初めてだったし、これからも無いだろうと思っていた。
「じゃあ、仕事終わったら迎えに行くよ。定時だろ?」
「は、はい。お願いします」
そして平井は愛子より先に食堂から去った。
愛子は慌てて母親に宛て、遅くなるとメールを送信した。
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