その奥に潜むもの

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黒のシーツが敷かれたベッドの上、黒い薄手の掛け布団をくしゃくしゃにして眠る悠里。 枕元の目覚まし時計がけたたましく鳴り出す。 「ん、うーん」 ゆっくりと手を伸ばし、アラームを止める。 むくりと起き上がると悩ましげに一つ伸びをし、ベッドから下りた。 髭剃りと洗顔だけを済ませ、軽く食事をする。それが済むと、テレビを観ながらだらだらと身支度を整えた。 「まだ早いな」 時計の針は15時を指していた。 「メールでもチェックするかな」 パソコンにも携帯にも、客からのメールが何通も来ていた。 「また無いか」 そう呟くと、落胆の表情を浮かべた。
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