86人が本棚に入れています
本棚に追加
ふと腕の時計を見ると、15才の少年がそうそう出歩く時間じゃない事を示していた。
我が家へ帰る為、道中でタクシーを拾う。タクシーのおっちゃんが不思議そうな顔をしているが、無視だ無視。
「はあ……時間、結構かかっちゃったな……」
月が照らす住宅街を歩きながら、僕は独り言を呟いていた。
やはり泥棒はいくらやっても慣れない。
どんなに上手く出来たとしても、やはり泥棒は泥棒だ。
怪盗と呼ばれるような大泥棒ならともかく、そんな大物ではない僕には堂々とは出来ない。
「……ん?こんな時間に誰かいるのかな?」
小さめな公園の脇を通りかかった時、視界の隅に何か動くものを捉えた。
不審に思ってそちらを向くが、誰もいない。
「あれ?気のせいだったかな……?」
キョロキョロと辺りを見回しながら園内に入るが、それらしき影は見当たらない。
すると、死角から唐突に声がかけられた。
「誰を探しているのかな?」
最初のコメントを投稿しよう!