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「理恵、年下とかナシなんだけど」
お店のトイレでギリギリまで私は理恵にボヤキ続ける。
「そんなこと言わないでよ。私はこれにかけてるんだから」
今にも帰りそうな私を理恵は一生懸命宥めてくる。
理恵は私とは正反対で、さっきからずっと手鏡とトイレの鏡で交互に自分の姿をチェックし続けている。
かなりの念の入れように理恵の気合のような意気込みがひしひしと伝わってくる。
「そうよ。文美は別に出会いなんて求めてないんでしょ?なら、いつものように普通に飲み食いしてればいいじゃん。私も年下はちょっとだけど、とりあえず会ってみてからかな?」
唯一味方してくれると思っていた亜希子までそんなことを言い出す始末。
ドタキャンをするつもりはないが、今日に限って本当に気持ちがのらない。
多分、いつも一緒に馬鹿をやっていた仲良い理恵が急に真剣に狙いに入っているからかもしれない。
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