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「うわぁ……、下着までベタベタしてる……」
更衣室に案内すると、紀章さんはすぐに立ち去ってしまった。
しんと静まり返る更衣室――…。
あたしの虚しい実況だけが響き、情けなさを助長する……。
結局、あたしはいろんな人に迷惑を掛けている。
お店は汚すし、
服は洗濯させるはめになるし、
「……ろくな事しないなぁ、あたしって……」
口にしたら、情けなさ過ぎて涙も引っ込んだ。
やけに肌触りのいいシャツに袖を通すと、あたしはゆっくり更衣室のドアノブに手を掛けた。
その瞬間――!
ドアノブがひとりでに動き始めて、あたしは思わず手を引いた。
何のためらいもなく開いたドアの前で凝固していると、目の前に現われたのは…………、
「と…、智…宏……」
少し呆れたような、怒っているような表情の智宏が、更衣室に入ってきて、後ろ手にドアを静かに閉めた……。
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