第5話

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………… ……… …… 「……あ、あの………智宏…?」 かれこれ数分間。 なーんも言わずに、ずっと抱き締められてるだけの状態が続いて、 さすがにあたしも恥ずかしくなってきて智宏の名前を呼ぶけど、 そんなのお構いなしに黙ったまんまの智宏。 解放される気配がなくて、安心感よりも羞恥心の方が強くなってきた……。 「……やわらかい」 やっと口を開いたと思ったら、ヘンテコな事をつぶやくだけだし……。 「………っ!?」 でも、すぐに違和感に気付いて、あたしは体を捩った。 あたしを抱き寄せながらシャツのボタンを片手で器用に外してる!? 「ちょ!!智宏!?何してんの?!」 「何って……、脱がせてんの」 (そんな当たり前のようにさらっと言うこと!?) さっきまでのドキドキが違う意味のドキドキに変わっていく。 下着が濡れたままだからか、ボタンが外されていくにつれて、なんだか胸元だけがスースーする。 「……やっぱり」 恥ずかしすぎて目をぎゅっと瞑っていると、智宏がため息混じりにそう言って、あたしの胸元に手を当てた。 「ちょーベタベタしてんじゃん」 「…………っ」 (だからって、突然脱がせようとするっ!?) あたしが恥ずかしさから顔を真っ赤に染めていると……、 「きゃっ!?」 何かが肌をくすぐるような感覚が、あたしに乙女な声を上げさせた。
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