51015人が本棚に入れています
本棚に追加
/317ページ
…………
………
……
「……あ、あの………智宏…?」
かれこれ数分間。
なーんも言わずに、ずっと抱き締められてるだけの状態が続いて、
さすがにあたしも恥ずかしくなってきて智宏の名前を呼ぶけど、
そんなのお構いなしに黙ったまんまの智宏。
解放される気配がなくて、安心感よりも羞恥心の方が強くなってきた……。
「……やわらかい」
やっと口を開いたと思ったら、ヘンテコな事をつぶやくだけだし……。
「………っ!?」
でも、すぐに違和感に気付いて、あたしは体を捩った。
あたしを抱き寄せながらシャツのボタンを片手で器用に外してる!?
「ちょ!!智宏!?何してんの?!」
「何って……、脱がせてんの」
(そんな当たり前のようにさらっと言うこと!?)
さっきまでのドキドキが違う意味のドキドキに変わっていく。
下着が濡れたままだからか、ボタンが外されていくにつれて、なんだか胸元だけがスースーする。
「……やっぱり」
恥ずかしすぎて目をぎゅっと瞑っていると、智宏がため息混じりにそう言って、あたしの胸元に手を当てた。
「ちょーベタベタしてんじゃん」
「…………っ」
(だからって、突然脱がせようとするっ!?)
あたしが恥ずかしさから顔を真っ赤に染めていると……、
「きゃっ!?」
何かが肌をくすぐるような感覚が、あたしに乙女な声を上げさせた。
最初のコメントを投稿しよう!