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「あきちゃん、おっはよー!」
プールサイドに向かったら、珍しく先に来ていた智宏が、上機嫌で手を振ってきた。
「おはよう……」
昨日のこともあって顔見るのが恥ずかしくて、
普通にすればいいものを、ちょっと無愛想になってしまった事に後悔……。
これじゃ意識してるのがバレバレだ。
「あれれぇ~?珍しくTシャツなんか着ちゃってる」
「!!!!」
何でかなんて、智宏が一番知ってるくせに!
意地悪に笑いながらそんな事言う!?
(ドSにも程があるっ!)
真っ赤になったあたしを見て満足そうに笑ってる智宏。
全て彼の思惑通りな気がして、あたしは恥ずかしさから、ぎゅっとTシャツを握り締めて俯いた。
実をいうと……、昨日はあれからまともに顔を見れなかった。
あの後、何を話したかなんてまったく覚えてない。
とにかくずーっと落ち着かなくて……、
紀章さんが真っ白になった洋服を持って来てくれるとすぐに着替えて……、
ごねるお姉を無理矢理引っ張るようにして帰った。
お姉は飲み足りなかったみたいで、帰り道で散々文句言われたけど、
あれ以上お店にいたら、10年くらいは簡単に寿命が縮まってたと思う。
お酒なんかよりも、もっと質が悪い。
やさしいフリしてドSだし、
甘い笑顔で魅了しては虜にする。
はっきりとわかったのは、
智宏はホントに危険な男だって事だけ……。
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