第6話

6/13
前へ
/317ページ
次へ
そんな勝ち目のない掛けあいをしている時だったーー。 「あき~~~!」 突然、誰も居ないはずのプールサイドに響くあたしの名前を呼ぶ声に、 あたしはもちろん智宏まで驚いて周りを見渡した。 でも、あたしは智宏とは違う意味で驚いていた……。 だって……この声。 あたしには聞き覚えがあり過ぎるから……。 「いないのかなぁ……?」 「でも、チャリはあるよ?」 "ひそひそ"というにはデカすぎる話声が静まり返ったプールサイドに響いてる。 他人事なのに、若干恥ずかしくかんじてしまう……。 さっきまで憤慨していた事も忘れて、プールサイドを囲む柵から外の様子を伺った。 テンパりながらも視線を送る先には、やっぱり見慣れた姿が約2名……。 オレンジ色に近い茶色い長髪をクルクル巻いた、見るからに元気そうな子と、 チョコレートみたいに美味しそうな色のボブが白い肌を眩しく見せる大人っぽい子。 そんなふたりが、これまた見慣れた制服に身を包みながら、プールの入り口を覗いていた。 (てか、なんで夏休みなのに制服着てるの!?)
/317ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51018人が本棚に入れています
本棚に追加