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けど、そんな時間は長くは続かなくて、元気な声が沈黙を切り裂いた。
「はじめましてっ!ウチはあきの友達の香奈っていいま~す!早生まれなんで、まだ16歳でーすっ!」
オレンジ色の髪を風でなびかせて、いらない情報を交えながら太陽みたいに眩しい笑顔を向ける"香奈"。
「わたしは青柳ゆうかです。いつもあきちゃんがお世話になってます」
香奈とはうって変わり、落ち着いていて、おしとやかな顔立ちで優しく微笑みながら挨拶を済ませる"ゆうか"。
――はい。
二人はあたしの友達です。
おまけに同じ高校です。
「こんにちは~!
あきのお世話してます、秦野智宏です」
いつもの調子で軽い挨拶を交わす智宏。
この人は人見知りもしないし、ノリがいいから、老若男女に全対応出来る……。
楽しそうに自己紹介をする3人を見ていると、何だかどっと疲れてしまう……。
「てか、二人とも何で制服なの?」
初見から気になっていた事を訪ねると、さっきまでの笑顔が消えた。
「てか、今日が何の日か忘れてるでしょっ!」
香奈が鼻息荒くしながら詰め寄ってきて、あたしは記憶をフル回転させる。
それと同時に、さっき制服を見て感じた不安がより一層大きくなった。
しかも、その答えを記憶がリンクさせてしまった……。
「………登校日だ」
毎日の様にバイトに明け暮れていてすっかり忘れていた。
「あきちゃんったら、学校来ないんだもの。先生も心配してたわよ?」
ゆうかも溜息混じりで呆れたような笑みを浮かべている。
ぎゃあぎゃあ言われない分、言葉の重みがずっしりとしている……。
「……忘れてました」
あたしが俯いてそう言うと、2人は「やっぱり……」と、声を揃えた。
そんなあたしたちのやりとりを見て何を思ったのか、
突然智宏が大笑いしはじめた。
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