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お昼休みになっても、
放課後になっても、
二人が会話を交わすことがほとんどない。
今までの楽しかった毎日は嘘だったみたいに思えて、とてつもんなく悲しく感じる。
あたしはどっちかと一緒にいることなんか出来なくて、
休み時間は屋上へと足を向け、ひとりで過ごすことが多くなった。
誰もいない屋上で、流れる雲を見つめるのは日課になった。
――ゆうかの言う事は間違っていない。
頭ではわかってる。
でも、あたしにはその覚悟がないんだ。
それにもう別れて日数が経ちすぎている。
きっと智宏だって呆れているに決まってる。
あたしは本当に自分勝手だ。
傷つきたくないからって、相手の話も聞かずに別れを切り出して……。
そのくせ、まだ未練タラタラだなんて……。
自分が心底嫌いになる…。
そのせいで友達まで巻き込んで、
本当にどうしようもない人間だ。
「……もうやだ」
現実がずっしりとあたしを押しつぶす。
空はこんなに晴れ晴れしているのに、あたしの心の中は木枯らしが吹いているように荒れている。
「更科?」
鉄柵をつかみ、深くため息をついた時。
後ろから聞きなれた声がした。
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