第25話

10/11
50795人が本棚に入れています
本棚に追加
/317ページ
「んだよ、それ……」 ぽそっと呟く智宏の声が少し震えていた。 もしかしたら、智宏も泣いている……? そう思ったけど、すぐにその予想が間違いだって事に気づかされた 「んな理由で諦められるかっ!」 「!!?」 「大体、俺がどんだけ悩んだと思ってんの!? 10歳も年下の高校生好きになって、手ぇ出したら犯罪だ~って!! 周りからも止められて、それでも好きな気持ち抑えきれなくて、全っ然我慢なんか出来くて、 しまいにはロリコン変態野郎だぞっ!?」 突然、大きな声でダーッと文句を言った後、智宏の息は上がっていた。 一方あたしは口をぽかんと開けたまま涙なんて気づいたら止まってしまっていたくらいの気迫に固まっていた。 「なんて言われようと、やっぱり好きなんだよ。 あきのためなら犯罪者にだって、ロリコンにだってなってもいい」 ――それは初めて聞く、智宏からの告白のようで。 「俺にとって問題なのは、あきが俺を好きかどうかだけだ。 信用出来ないなら、信用されるようになってやる! このくらいの壁いくらでも乗り越えて、あきを何度でも捕まえてやる!」 ――その強い意志に、 応えられない女がいるはずないよ。 「…あたし、まだ智宏を好きでいて、いいの?」 さっき引っ込んだはずの涙がまた溢れ出す。 「智宏の……彼女でいていいの?」 智宏の顔を見たいのに、溢れる涙が邪魔をする。 それが煩わしくて、必死に指先で涙をはけるけどあまり意味をなさない。 視界最悪な中で、智宏があたしの腕を強引に引いて胸の中に誘うと、溜息混じりの優しい声で呟く。 「当たり前でしょ? ここまで言わせたんだから、応えろよ」 そう言った智宏の声色は安堵が混じっていたような気がする。 「俺の手から逃げようとすんな」 優しく囁くと、智宏は唇を重ねた。 頬に添えられた手の温もりが、気持ちいい。 智宏に応えるように手を添えて、好きで好きで仕方ないことを込めてキスを受け入れた。
/317ページ

最初のコメントを投稿しよう!