11人が本棚に入れています
本棚に追加
目が覚めたら、白いベッドの上にいた。
簡易式なベッド。
テントの中みたいだ。
外へ出ると、日は沈んでいて、月光によって辺りが照らされていた。
大きくのびて、深呼吸をする。
夜風が気持ちいい。
隣のテントに人の声がしていた。
まだまだふわふわしている感覚がするけど、行ってみた。
テントの中。
騒々しく、いい匂い。
どうやら晩ご飯のようだ。
空中ブランコの双子が手招きしている。
「あ、こっちだよ。兄さん。おいで、おいで。」
つられて動く足。
「おなかすいた?たべていーよー。兄さんを待ってたんだっ」
満面の笑みでボクを見る。
なんだか、本当に兄弟みたいでかわいい。
「そーいえば、兄さんの名前、しらないや。おしえてよっ。オレはイビだよ。こっちが、エンだよ。間違わないでねっ」
そっくりだけど、この双子はなんとなく違うところがある。
金髪で左目が包帯で覆われているのがエン。無口な、女の子だ。
同じく金髪で右目が眼帯で覆われているのがイビ。こっちはよく話す男の子。
「ボクはー…」
そこで止まる声。
あれ?
ボクの名前…
あ、
そうか
思い出した。
「ボクは『カイナ』だよ。よろしくね。」
なんとなく感じる違和感。
でも、一瞬で消えてしまった。
「へー。兄さん、女みたいな名前なんだ。ふふふーまぁそんな感じだよね。」
クスクスと笑うイビ。
イビを見て、ワンテンポ遅れてエンも笑う。
「しゃーないじゃん!ボクの名前はボクがつけたんじゃないんだからさー!」
すこし怒ったように返す。
「ふふふ。兄さんおもしろいねー。兄さんのこと気に入っちゃった。よろしくね?」
首を傾げてボクを見る。
かわいい。
「よろしく」
最初のコメントを投稿しよう!