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鳥の声で目がさめる。
テントを出ると、きれいな蒼が迎えてくれた。
ふぅ。と軽く深呼吸をして、前を見る。
「おはよー!兄さんっ。てんきいーねーっ」
イビとエンがニコニコして来た。
今日も元気いい双子だ。
「おはよう」
ボクもつられて笑う。
「兄さんはパフォーマンスの練習しなくていいの?」
首を少し傾げてイビが聞く。
「あぁ。パフォーマンスね…」
また、不思議な感覚。
あれ、
ボク、
こんなこと、してた?
けれど、また一瞬で考えていたことは消えてしまった。
「兄さん…?」
不安そうにイビがボクの顔を覗きこむ。
エンがいつになく笑顔だ。
…エンはボクの違和感のことを知っているのだろうか。
「…大丈夫だよ。イビ。」
無理やり笑ってみせる。
イビはまだ不安そうな顔をしている。
「…兄さん。無理しないでね。」
心配するイビもかわいい。
「わかってるよ。」
エンをもう一度見るといつもどおりの無表情になっていた。
「んで、兄さん。パフォーマンスの練習は?」
思い出したようにイビが聞いてきた。
「んー。でも、ボク出ないでしょ?」
「もしかしならってこともあるよっ」
イビはいたずらっぽく微笑む。
「なら、ちょっとやろうかなー。」
「オレが見ててあげるよっ」
イビは先輩気取りで胸を張った。
「お願いするよ。」
ボクも微笑む。
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