すべてが開演~1日目

3/6
前へ
/52ページ
次へ
また、鼻歌を歌いながら、歩く。 これから家へ帰って…ご飯を食べて…今日のご飯は何にしようかとか、考えていた。 テントからでる直前。 「そこの兄さん」 ふと、呼ばれた気がしてテントの中を見る。 「ちょっとおいでよ」 空中ブランコに出ていた双子だ。 本当にそっくりな顔をしているが、まるで鏡に映っているようにシンメトリーになっている。 こちらへ手招きしている。 ボクのこと?と首を傾げた。 「うん。ねぇ、来てよ。」 小さい子におねだりされると断れない。 一応、ロリコンではない。 ついていってしまった。 「こっち。こっち。」 手招きでボクを誘導。 いつしか、周りがあの真っ暗なところに来てしまっていた。 「兄さんをね、だんちょーが呼んでたんだ。」 双子が声をハモらせ、クスクスと言った。 団長? 嫌な予感がした。 「もうすぐ、だんちょーがくるからね。いーこで待ってるんだよ?」 クスクスと笑いながら暗闇に消えていった。 不安。 それしかなかった。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加