幻想奇術のロマネスク

第一章 学園都市の日常

･･･不幸だ。

このくそ暑い（推定３５度）中、学園都市内を走る路面電車を２つほど乗り継ぎ、さらにそこから２０分かけて歩いてようやく帰ってきた我が家。

しかし、肝心な玄関の鍵が見当たらない。朝学校に行くときにはちゃんとポケットに落とさないよう細心の注意を払って管理してたはずなのに･･･帰りにしてもバスに乗るときまでは確かに感触はあったのだ。そうすると考えられるのは一つ。

バスに乗るとき、何かの拍子で鍵を落としてしまったのだ。

･･･こうなると、するべきことは決まっている。携帯を取りだし交番に届けられているか確認、そしてある場合には取りに行く。幸い、鍵は交番に届けられていた。しかし、交番がある場所は山神のいる自宅から直線距離で５ｋｍほどある。つまり、家に入るためにはわざわざ遠く離れた交番までさっきまで乗っていたバスに揺られて、その前にこの炎天下の中また２０分歩かなければならず

･･･不幸だ。