僕の幼馴染

3/11
前へ
/12ページ
次へ
 なんだか、文句を言える立場じゃない気がしてきた。  当の先生はと言えば、そんなことかまわず、ナポレオンがライプチヒの戦いで大敗を喫し、エルバ島へと流された後、どのように脱出し百日天下となったのかを平坦な声で熱く語り、この日の授業は終了となった。  なんだかんだで十五分の延長である。昼前になんて鬼畜なマネをしてくれるんだ。ありえない。  特殊な粉をかけたら花が咲きそうな枯れ木の寄せ集めは、世界史の教科書と、トルストイ著の『戦争と平和』を持って教室を去ると、僕は大きく息を吐きだした。教室の空気もなんだか弛緩する。  一部の子は、慌てて教室を飛び出していったけど。おそらく、あの人たちは購買にパンでも買いに行ったのだろう。でもたぶん売り切れで買えないかな。  この日くらいは弁当持ってきたらいいのに。学習しない人たちだなぁ。パンの入荷を増やさない学校も学校だけど。  と、身体の力を抜いている僕の背中が小突かれた。ダイレクトに痛みが広がる。冗談抜きに痛い。  次いで、鈴の音色のような綺麗な声が耳朶を打った。 「こらっ! あんた、また寝てたでしょっ!」  僕はせきこみながら後ろに顔を向け、 「攻撃してからじゃないと会話できないの? ねぇったら!?」
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加