僕の幼馴染

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 割と痛かったので、僕は猛然と抗議した。  ところで、僕には生まれた時から隣の家にいる――病院では隣のベッドだったらしい――幼馴染が一人いる。その子は名前を優衣ちゃんと言う。ちんまい体だけど、その体型に似合わず顔立ちはすごく大人びている。  もっとも性格は全然大人ではなく、総合的には子どもっぽい。  何かにつけて僕に暴力をふるい、理由がなくても暴力をふるう困ったちゃんなのである。  手入れの行き届いたシルクのようになめらかな長髪は、常に右頭頂部で結われており、いわゆるサイドテールとなっている。  ことあるごとにピョコピョコとなびくそれは、小さいころから僕が引っ張ることで優衣ちゃんに仕返しをする役割を担っている。……倍になって叩かれるけれど。  さっき僕の背中をぶってくれやがったのは、その件の幼馴染、優衣ちゃんである。  八重歯をのぞかせた僕の幼馴染は不敵な笑みを顔面に張り付け、 「居眠りをした罰よ」  それは先生がすべきことだと僕は愚考する。  しかし、何にせよ、このサイドテールが僕の言い分を聞いたことなど今までにおいてほぼ皆無であり、どっちかというと居眠りをした僕が悪いので強くは文句を言えなかった。
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