僕の幼馴染

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 閑話休題して。ようやく話を終えたらしいサイドテールは、偉そばってない胸を張り、 「ようやく日頃の授業の大切がわかったのね? それなら、わたしのノートを見せても、」 「違うよ……」  優衣ちゃんの声をさえぎり、僕は自殺志願者でももっと明るいだろうと感じるくらいダウナーな声で弁当を家に忘れてきた旨を告げた。おなかすいた……。  購買に行ったところでパンは残っていまい。というか、そもそも財布を持って来ていない。  ああ、鬱になってきた。学校で昼食が摂れないなんて、何しに学校にきたか分からないよ……ッ。  そんな鬱々とした僕を見かねたのか、 「もう、仕方ないわね」と、優衣ちゃん。慈愛に満ちた微笑を咲かせ、「わたしのわけてあげるから元気出しなさい」 「え?」  マジマジと見据えると、優衣ちゃんはサイドテールをなびかせながらそっぽを向いた。彼女は壁に掲示してあるプリントを一心に見つめながら桜貝を想起させる唇を震わせる。 「そのっ、今日はちょっといろいろなんだかあって! そのっ、だからえっと、ダイエット中なのに、だから! 一緒に、食べよっ?」  顔が朱に染まっているあたり、嘘が下手だなぁ、と思う。それに無意識の行動だとは思うけれども、両手をへそのあたりでもじもじさせているから。
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