僕の幼馴染

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 彼女は、自分のバッグから僕の家にあり、誰も使っていない大きめの弁当箱を取り出し、優衣ちゃんはサイドテールを後方になびかせて教室を出ていった。  僕はその後ろをてくてくとにこにこ笑いをこらえきれずについていく。  屋上へとつながる無骨な階段を一段一段登りながら、僕は優衣ちゃんの隣に並ぶ。自然に弁当箱を優衣ちゃんから取り、 「ねぇねぇ、優衣ちゃん。おかずは何入ってるの?」  教えてくれないだろうな、と思いつつ尋ねる。 「ん?」と、優衣ちゃんは意地悪な笑顔になり、「見てからのお楽しみよ」  ……ここまで予想通りだとちょっとだけ笑えてくる。  階段を登り終え、コンパネやら美術室にあるのが普通な、首より上の白い石膏像とかが放置されており、なんだか物置と化してるようにしか思えない踊り場を放り出されたカンバスやらイーゼルやらを踏まぬように鉄扉の前まで足を運ぶ。  現代における城壁みたいだな、と思いつつ、僕はそれを押しあけた。ギィギィときしむ音がうるさい。この音、嫌い。優衣ちゃんは平気みたいだけど。  パラパラと錆も床に落ちた。  交換した方がいいんじゃないかなぁ、これ。経費をケチって何に使ってのか気になるところである。校長と教頭のヅラに消えてそうだなぁ。
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