4347人が本棚に入れています
本棚に追加
/2244ページ
決して「おめかし」を期待していたわけではない。
いや、正直に言うと、ちょっとは期待していた。普段、研究所にいるときとは違う理沙サンが見られるんじゃないかと。
その期待は叶えられたような、叶えられなかったような……
成田で会ったとき、理沙サンはクタクタのジャージを着ていた。
あの深夜のコンビニで立ち読みしてる女の子が来てるようなやつ。
「菊川さん、ジャージなんですか?大丈夫ですか、そんな格好で?」
「ジャージだけど。大丈夫って、なに?わたしより、イチローたんこそ、スーツなんか着て、大丈夫なの?十五時間も飛行機乗るのよ。今からスーツなんか着てたら、着いたときには、しわくちゃになってるよ、特にズボンなんか」
最初のコメントを投稿しよう!