3.ジュネーブ

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決して「おめかし」を期待していたわけではない。 いや、正直に言うと、ちょっとは期待していた。普段、研究所にいるときとは違う理沙サンが見られるんじゃないかと。 その期待は叶えられたような、叶えられなかったような…… 成田で会ったとき、理沙サンはクタクタのジャージを着ていた。 あの深夜のコンビニで立ち読みしてる女の子が来てるようなやつ。 「菊川さん、ジャージなんですか?大丈夫ですか、そんな格好で?」 「ジャージだけど。大丈夫って、なに?わたしより、イチローたんこそ、スーツなんか着て、大丈夫なの?十五時間も飛行機乗るのよ。今からスーツなんか着てたら、着いたときには、しわくちゃになってるよ、特にズボンなんか」
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