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「あれじゃないかしら?あの柱のところ」
そう言うと、ちょっと小首を傾げて、視線で示した。
柱にもたれ掛かるようにして、白人男性が立っていた。
なんと言うか、ニコラス・ケイジを真面目にしたような感じの男だ。
彼は油断なくといった様子で、到着客に視線を走らせている。
僕も彼の存在には、気付いていた。
でも、さっきから何度か視線が合いそうになっても、こっちのことをまるっきり無視しているので、違うだろうと思っていたのだ。
「違うんじゃないですか?なんか、こっちのこと無視していますよ」
「ううん、きっとあれよ。ほら、リチャードって顔してるじゃない」
そのまま、男のほうに近付いていく。
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