しずる編①

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「え……、渋谷?」 俺が口に出す前に相方に言われてしまった。扉を抜けた先そこは、夜の渋谷のハチ公前だった。 現実世界に戻されたのかと一瞬思ったが、後ろを振り返ればさっき通り抜けたばかりの青い扉が光を発して消えていったので、間違いなくここが異世界である事を証明していた。 そしてなによりも現実と違う事は、 「すげえ、人が一人も居ない渋谷なんて初めて見るな」 まぁ本物じゃねえけどな、と頭の中だけでツッコむ。人が一人も居ない? 「いや、人じゃねえけどハンターがウジャウジャ居るはずだ」 「あっ、そっか」 今の所ハンターらしき人物、とゆうかロボットは見当たらないが、いつどこから襲ってくるか分からない上にここじゃ目立つからすぐ見つかる。 「とりあえずここじゃ目立つだろ。よし、あそこに行くぞ」 「え? お、おう」 俺が指差したのは俺達から見てセンター街の入り口の右に建つ建物。 「いやでも村ちゃん、あそこ一、二階全面ガラス張りだけど大丈夫?」 その建物の一階と二階は本来ならば世界規模で有名なコーヒーのチェーン店で、確かに全面ガラス張りだ。 「でも見る限りあそこにハンターはいなそうだ。他の建物は外からじゃ中が見えにくいから、入った瞬間ハンター登場、いきなりで身動きとれずに即捕まって即失格。なんて事があるかも知れないだろ。」 「うわっ、怖いこと言うなよ」 「それにあそこは広いから万が一見つかっても逃げ道はたくさんある。だからこれからどう動くかはあそこで考える」 俺だって適当に選んじゃいないっての。 「行くぞ」
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