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俺は池田のほうを振り向く事もせずスタスタと歩き出す。こんな無駄話してる間にハンターが近づいていたらどうする。
辺りを注意深く見回しつつ建物との距離を縮めていき、なんとか無事中に入る事はできた。案の定コーヒーを注文しお金を払うこの一階部分にハンターが居る気配は無かったので、俺は身を低くする事もせずに急いで二階へ向かう。
二階部分は飲食スペースとなっていて、真っ暗な中でも充分に分かるくらいたくさんの椅子と机が規則的に並べられていた。
「村ちゃん、速いって!」
池田が少し息を乱して俺に文句を言った。
「ハンターに見つかったら速いとか言ってらんねえぞ」
そう言うと俺は窓際から二番目の席に座った。窓際だとさすがに外に居るハンターにすぐ見つかる。ここなら外も覗けるし向こうからはあまり目に付かないだろう。
「そりゃそうだけど、痛ぁっ!」
俺の向かいに座った池田が座ったとたんに飛び上がったので、俺は目を丸くした。
「どうした?」
「なんか、バックポケットに硬いものが入ってた」
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