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「ま、頑張りますか春日さん」
そう言って目を向けた先の春日の表情は、気持ち悪いニヤケ顔で、次に何の言葉を発するかは安易に予想がついた。
「トゥース!」
「うっせ!!」
そう一喝して俺達は建物の中に入った。
「春日、階段見つけたら言えよ」
まるで子供に言うかのような当たり前の事を発する俺。
「うぃ」
そしてそれに素直に答える相方。こんな状況でもうぃかよ。
一階にはサポートセンターとちょっと洒落たカフェがあった。しかし今は遊びに来ているわけでも収録に来ているわけでもないので、それらの物は軽く流して上に行くための階段を探す。
「若林! あったぞ」
左隣で声を上げる春日。指を指した左に目を向けるとそこには確かにお客が使う用の綺麗な階段があった。
「よし、でかした」
そう言って俺は春日の肩を軽くグーで小突く。なんか春日なんかに先に見つけられたのが気に食わなかったからだ。
こんな理不尽な事言ったら普通の奴なら怒るよな。
「おい、若林」
「あん?」
「もっと強く殴ってくれて良いんだぞ」
うわっ! 気持ち悪っ!!
「ドMかよ」
ボソッと呟いた後に、俺は軽く笑った。そう、コイツは普通じゃないんだ。
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