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「若林?」
「……かす、が?」
頭上から落ちてきたその声に、俺は耳を疑った。
顔を上へ向けると、一つ上の踊り場から俺を見下ろすピンクベストのテクノカット。
はは、俺もついに壊れたか?
「良かった、若林も逃げ切れたんだな」
そう言ってニコニコ顔で階段を下りてくる春日。
「お前、本当に春日か……?」
「なにを言っている? 正真正銘、お前の相方春日だぞ。ヘェッ!」
あぁこの馬鹿面は俺の相方しか居ねえわ。
「お前、いつからここに?」
「若林とはぐれてからすぐにここを見つけて逃げ込んでな。最初は鍵を掛けておいたんだがもしかしたら、っと思って鍵を開けておいたんだ」
俺とはぐれてすぐ? はぁ?? ふざけんなよ、俺がどんだけ走り回ったか……。
「わ、若林? どうしたんだ、震えて」
「うっせえぇぇぇ! 一発殴らせろテクノ野朗!!」
「ちょ、まっ、若林! 春日がなにかしましたか、ぶほおぉぉぉっ!!」
怒りがマックスまで達した俺は春日に強烈なボディブローをお見舞いしてやった。
案の定春日は腹を抑えてうずくまり、ぴくぴくしていた。
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