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「村上、こっち!!」
「え?」
強く引っ張られていた腕がより一層強く引かれた。
その突然すぎる力に驚き、俺の両足は地から離れた。
すると体全体にガサガサと草がぶつかる感覚がした。
思い切り草が生い茂る場所に倒れこんでしまったのだ。
「いっ、た、」
「静かに……!」
右隣からスッと伸びてきた左手に、俺の口は塞がれる。
視線を右に移すとそこには俺と同じように伏している亘。
その姿は俺なんかより全然さまになっていた。
「…………行った、か」
解放された口がブハァッと息を吐く。亘はというといつの間にか体を起こして地面に座っていた。
「亘、ハンターは?」
「あぁ、大丈夫。行ったみたい」
ついさっきまで全力で走っていたにも関わらず、涼しい顔で俺の問いに答える亘。
こっちは汗ダクダクで、その上肩で息をしなければキツイ状態だっていうのに。
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