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「村上……平気か? ちょっと休んだほうが良いか」
亘が俺の顔を覗き込んで心配そうな眼差しを送る。
さっきまでの怒りはどこへいったのだろうか、その優しさに俺の心はゆっくりと、しかし確実に落ち着いていった。
「あぁ、ゴメンな亘」
「いや、気にしないでいいよ」
そう言うと亘はそっと微笑んだ。
本当にこいつは優しいやつだなと相方ながらに思った。
そういえば、
「そういえば、あのウサギは?」
ハンターのインパクトがとんでもなくて忘れていた。
別に心配しているわけじゃないが、どうしたのかは気になる。
「ウサギ? 居るよ、ここに」
今まで俺から死角になっていて見えなかった亘の右腕から、ひょこっと顔を出す白ウサギ……。
やっぱり、連れてきちゃってたのかよ。
「あれ、村上。もしかして心配してたのぉ?」
さっきまでのあたたかい笑顔とは違い、ニヤニヤとしたいやらしい笑顔を俺に向ける亘。
「心配してねぇよ! なんで連れてくるんだよお前わぁ!!」
自分で言うのもなんだが、頭が良いだけがとりえで足手まといな俺と、サバイバル技術は相当だがとんでもなくお人好しな相方。
こんなんで無事現実世界に帰る事ができるのか、俺はとんでもなく不安になった。
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