フルーツポンチ編①

7/7
前へ
/216ページ
次へ
「村上……平気か? ちょっと休んだほうが良いか」 亘が俺の顔を覗き込んで心配そうな眼差しを送る。 さっきまでの怒りはどこへいったのだろうか、その優しさに俺の心はゆっくりと、しかし確実に落ち着いていった。 「あぁ、ゴメンな亘」 「いや、気にしないでいいよ」 そう言うと亘はそっと微笑んだ。 本当にこいつは優しいやつだなと相方ながらに思った。 そういえば、 「そういえば、あのウサギは?」 ハンターのインパクトがとんでもなくて忘れていた。 別に心配しているわけじゃないが、どうしたのかは気になる。 「ウサギ? 居るよ、ここに」 今まで俺から死角になっていて見えなかった亘の右腕から、ひょこっと顔を出す白ウサギ……。 やっぱり、連れてきちゃってたのかよ。 「あれ、村上。もしかして心配してたのぉ?」 さっきまでのあたたかい笑顔とは違い、ニヤニヤとしたいやらしい笑顔を俺に向ける亘。 「心配してねぇよ! なんで連れてくるんだよお前わぁ!!」 自分で言うのもなんだが、頭が良いだけがとりえで足手まといな俺と、サバイバル技術は相当だがとんでもなくお人好しな相方。 こんなんで無事現実世界に帰る事ができるのか、俺はとんでもなく不安になった。
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!

371人が本棚に入れています
本棚に追加