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土屋に?
「いや、別に」
不安とか心配? 土屋に?
そんな事していない。していないはずなのに、胸騒ぎが止まらないのはなんなのだろうか。
「とゆうか俺が土屋くんの心配してるって勘違いするなんて、ピ~くん案外フェミニストですね」
「ナルシストね! 確かに僕女に甘いからあながち間違ってないですけど。それよりピ~くんってなんですか!? 僕の苗字放送禁止用語じゃないですよ! その前に普通に土屋くんって言ったじゃないですか!」
「ツッコミお疲れ様です」
そう言うと俺はまた歩き始めた。
「ちょ、本当にしてないんですか塙さん!」
「してないしてない」
万が一俺が土屋に不安を抱いているとしたら、土屋のどこが不安なんだ。
万が一俺が心配しているとしたら、一体土屋のなにを心配してるっていうんだ。
全く分からない、自分の事なのに、全く分からない。
きっと土屋の勘違いだ。そう言い聞かせているのに、相変わらず胸騒ぎは収まる事を知らない。
「土屋」
「……はい?」
「もうその話、無しな」
冗談無しに、俺が真剣な表情で言ったからだろう、土屋は
「はい……」
と一言。どこか腑に落ちない顔をしながらも、俺の隣にならんだ。
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