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「……っ痛!」
「土屋!?」
するといきなり並んで走っていたはずの土屋の体が、後ろに引っ張られた。
後ろを振り返ると、俺は目を疑った。
まだ充分な距離があると思っていたハンターが、もう目の前に居て。土屋の右腕を掴んでいたのだ。
『片腕でも掴まれれば即失格と考えたほうが良い』
奴の言葉と笑みが脳裏に浮かぶ。
胸が、
「土屋!!」
「塙さん! 逃げてください!!」
とんでもなく騒いだ。
逃げる? 逃げるなんてしない。するわけないだろ。
「はなわ、さん!?」
気付けば俺の右手には、店に置いてあった金属バットが握られていた。
「土屋を、放せえぇぇ!!」
俺の心を揺さぶって揺さぶって、ムカついてたまらない原因不明の何かへの怒り。それを代わりにこいつにぶつけるように、俺はハンターの頭を力一杯殴った。
するとハンターの力が無くなったのか、土屋がハンターの腕から解放される。
俺が思い切りぶん殴ってやったハンターは地面に伏して、もうそれっきり動かなかった。
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