ナイツ編①

6/7
前へ
/216ページ
次へ
「……っ痛!」 「土屋!?」 するといきなり並んで走っていたはずの土屋の体が、後ろに引っ張られた。 後ろを振り返ると、俺は目を疑った。 まだ充分な距離があると思っていたハンターが、もう目の前に居て。土屋の右腕を掴んでいたのだ。 『片腕でも掴まれれば即失格と考えたほうが良い』 奴の言葉と笑みが脳裏に浮かぶ。 胸が、 「土屋!!」 「塙さん! 逃げてください!!」 とんでもなく騒いだ。 逃げる? 逃げるなんてしない。するわけないだろ。 「はなわ、さん!?」 気付けば俺の右手には、店に置いてあった金属バットが握られていた。 「土屋を、放せえぇぇ!!」 俺の心を揺さぶって揺さぶって、ムカついてたまらない原因不明の何かへの怒り。それを代わりにこいつにぶつけるように、俺はハンターの頭を力一杯殴った。 するとハンターの力が無くなったのか、土屋がハンターの腕から解放される。 俺が思い切りぶん殴ってやったハンターは地面に伏して、もうそれっきり動かなかった。
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!

371人が本棚に入れています
本棚に追加