しずる編②

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「うへぇ~、疲れたぁ」 そう言葉を吐いて右隣にドサッと座り込む池田。 もうハンターから十分離れたので俺達は走るのをやめ休憩をとっていた。 本当は一秒でも早く、地図が示す赤い点の場所に行きたい所だ。しかし疲れ切っている今ハンターに遭遇したら今度こそどうしようもなくなるので、人目に付き憎そうな路地裏でひとまずは体力回復を待った。 「あっ……村ちゃん俺、分かったかも」 なんの前触れもなく発せられた意味不明な言葉。分かったって、 「なに、分かったって?」 そう言って池田に目を向ける。 すると池田の両手にはあの機械が握られていた。 「無限大ホールだよ、ここ」 指差したのはあの赤い点だった。 無限大ホール、俺達にとって一番馴染み深い劇場だ。 「あぁ~確かに言われてみれば」 まぁ場所が分かったからってどうなるってわけでもないけどな……。 「……今じゃあ、半年前に比べてまるっきり無限大ホールに出る回数少なくなったよな」 さっきまでの明るい声色とは違う、少しの寂しさを含ませた声で池田が呟く。 確かにちょっと前までは、毎週必ず一度はそこでネタを披露していた。 新ネタを下ろす場所は必ずそこだった。 今のように他事務所の人達や大先輩と絡むのも良い経験だけど、やっぱり同じ事務所の芸歴が近い者同士のライブは、やっていてとても居心地が良くて……。
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