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「春日!!」
俺は急いで春日の元に駆け寄る。しかし当の春日はハハッと笑いながら立ち上がって、
「いや~、強いですね。さすがの春日も応えましたよ」
と笑いながら言った。
何言ってんだよ、何笑ってんだよ。少しは怒れよ、お前。
「分かったかな? 力も速さもかなりのものだ。片腕でも掴まれれば即失格と考えたほうが良い。君たちが今から鍵を探しに行く場所にはコイツがウジャウジャ居るからね」
なんかの冗談だろ? こんな奴がウジャウジャって、勝たせる気ねぇだろ。
「ちなみにコンビのどちらか一人でも鍵を手に入れられればクリア。ただし二人とも失格の場合は、ここで永遠の眠りについてもらう」
は? 永遠の眠りって、つまりは、死? 何なんだよこの滅茶苦茶なルールは!?
死ぬだと? ふざけんなよ、何でお前みたいな得体の知れない奴に殺されなきゃいけねぇんだ。
死って……。普段死ぬ死ぬ言ってきたけどいざ目の当たりにしてみると、なんとも言えない恐怖が体を支配する。死んでたまるか、殺されてたまるか、殺されて、
「若林」
名前を呼ばれたと同時に左肩に置かれた相方の右手。俺は隣の春日を見上げる。
「私達が死ぬわけないでしょう。いや、私達だけじゃなく皆。だから安心しなさい」
「春日……」
何でそう自身に満ち溢れてんだよお前は。その自身はどこからくるんだよ。
「お前俺の頭の中覗けんのか?」
「はい? そんなわけないでしょう、何を言い出すんだいきなり」
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