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太陽がサンサンと降り注ぐ灼熱の中、ぴっちりとボタンを閉め、優雅に燕尾服を着こなした5人組――
ボー然とする女子高生達をよそに、リーダーだと思われる一際黒い奴が手を叩く。
『皆さん、ぼーっとしている暇はありませんよ。彼女の破れた服を縫って差し上げなさい。』
言うのと同時に、青いネクタイをした奴と緑のハンカチーフを胸ポケットに挿した奴が、素早く彼女の元へ駆け寄る。
「わぁ……」
思わず見入ってしまうほど正確に素早く、かつ優雅に針と糸が動き、あっと言う間に服が繋ぎ合わされていた。
「マジかよ…」
『えへへッ リーダー終わったよ♪』
『ご苦労様でした』
人懐っこそうな笑顔を見せ報告する緑に、労いの言葉をかけるリーダー。
「つか、アンタ達何者!?」
女子高生達の質問に、一同は整列し、スッとリーダーが一歩前に踏み出た。
そして、優雅な手つきで右手を左胸におくと一礼をした。
『嗚呼、申し遅れました。私達、執事戦隊セバレンジャーと申します。』
そう言うと、残りの4人も一斉に頭をさげた。
「は?セバレンジャー???」
「いや、意味分かんねぇ」
女子高生達が言うと、リーダーが胸元目掛けて手を伸ばしてきた。
「は?ちょっ何やって…」
女子高生の言葉に構う事なく胸元にたどり着いた手は、素早くボタンを閉めた。
『いくら暑くとも、レディにあるまじき格好はされませんように。嗚呼、それから……』
ちらりとスカートの丈を見ると、
『余り体を冷やさぬ様に、短いスカートははかないでくださいね?』
落ちてきた黒い髪を耳にかけながら、ニッコリと微笑む。
「あ…ハイ。ありがとう…ございます」
『おや、言葉使いも直りましたねぇ。いい子です。クスッ…さて、私達の仕事はここまでです。後は立派なレディになれるかは、貴女達次第ですよ。頑張ってくださいね?お嬢様。』
そう言うと、燕尾服の裾を翻して去って行った。
彼等の目的は、そう――
日本の女性を立派なレディに育て上げる事……――
その為に立ち上がった5人組
執事戦隊セバレンジャー!
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