6571人が本棚に入れています
本棚に追加
/265ページ
「で、ピアス。」
おもむろに慧は耳からピアスを外すと、それに消毒液をかけて僕の耳に通した。
「え、これ…」
「なんかいれないと塞がっちゃうだろ?今これくらいしかピアス持ってねぇし」
「あ……」
正直、勢いでここまできたのであけた後のことを何も考えてなかった。
「そっか…ごめんね。新しいの買ったら返すから」
「あー。いいよ、やる。」
「え、でも…」
「もう一個あるからさ。」
慧は立ち上がって、棚に入っていた箱を持ち出すとまた隣に座った。
「ほら、な。」
箱をあけると、もうひとつ同じピアス。
それを自分の耳に通し、僕に見せつけるように髪を耳にかけた。
「お揃い。」
そう言って笑う慧が可愛く見えて、僕も自然と笑顔になる。
「じゃあ、遠慮なく…いただきます。」
「はい、どうぞ。」
なぜかふたりで頭を下げ合って、目が合うとクスクスと笑った。
最初のコメントを投稿しよう!